要約


本書は、リベラルアーツを学ぶ上での超入門書です。

高度経済成長という単線的な成長が終わり、グローバルな競争力が必要とされている現代。個々が考え、発想し、自分の道を切り開いていく基盤として、実践的な生きた教養、すなわちリベラルアーツを学ぶことが求められている。本書で扱われるリベラルアーツの概念はかなり広義であり、自然・社会・人文学から思想・批判・ノンフィクション、そして芸術までも包含する。

第1部ではリベラルアーツを学ぶ理由、第2部ではリベラルアーツを学ぶことで得られる能力やメリット、第3部では数点の名著を紹介する形で各分野の基礎知識を、それぞれ説明している。(ただし、著者の個人的な意見や好みが至る所に織り交ぜられているため、読むのには十分な注意が必要である。)

ポイント


1.リベラルアーツとは何か

<aside> 🗣️ 「リベラルアーツ」の起源は、ギリシア・ローマ時代にまで遡り、当時の自由人が学ぶべき自由7科、具体的には文法学、修辞学、論理学、算術、幾何学、天文学、音楽を意味した。

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自由人とは、奴隷を所有する権利のある人のこと。現代の大学であれば、教養課程に属する科目である。しかし、現代においてリベラルアーツの意味は少しずつ変化している。著者によると、リベラルアーツは以下のように定義される。

<aside> 🗣️ 実施的な意味における生きた教養を身につけ、自分のものとして消化する。そして、それらを横断的に結びつけることにより広い視野や独自の視点を獲得し、そこから得た発想を生かして新たな仕事や企画にチャレンジし、また自らの人生をより深く意義あるものにする。そうしたことのために学ぶべき事柄を、「リベラルアーツ」と呼ぶ。

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このような広い意味におけるリベラルアーツは、自然・社会・人文足掻くのみならず、思想、批判、ノンフィクション、そして各種芸術までも含むとされている。

2.なぜリベラルアーツを学ぶべきか

リベラルアーツを学ぶべき理由は明確で、それはリベラルアーツを学ぶことで身に付くさまざまな能力が、現代を生き抜くために必要不可欠であるから。

<aside> 🗣️ リベラルアーツを学ぶことは、予め与えられずとも自ら課題を見出し、適切にそれを設定する能力のある人間になるための、必要条件なのである。

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では具体的に、どのような力を伸ばすことができるのか?

著者は以下のように述べる。