要約


現代は、「経済の転換」と「文明の転換」という2つの大きな転換を迎えている。言い換えるならば、近代西洋文明をベースとしたパラダイムがあちらこちらで破綻しはじめ、それを補うように東洋思想(儒教・仏教・道教・禅仏教・神道)が見直され始めているということである。これは必ずしも西洋思想を一様に批判するものではなく、西洋と東洋の知の融合が起こっていると捉えることができる。つまり、今あらゆる分野で起きている(もしくは起きうる)イノベーションのヒントは東洋思想にある。故に、世界のビジネスリーダーたちはこぞって東洋思想を学び、自身にインストールしようとしているのである。

ポイント


<aside> 🗣️ 西洋は「外側にある真理に迫っていく」という真理探究方式を採る一方、東洋では「自分の中にある仏性、神的性に迫っていく」という真理探究の方式を採る。つまり、東洋は『精神』領域に長けているので、そこに質する知見を提供するべきであり、西洋は『技術』において一日の長があるといえる。

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今までの時代は、まさに「外側にある真理に迫る」方法、すなわち科学を極めることで発展してきた。特に産業革命の後からは『機械的数字論』が重視され、客観性が求められる時代になった。しかし近代はAIや人工知能の発達に伴い、人間の在り方が見直され、『人間的生命論』が唱えられるようになっている。

<aside> 🗣️ イノベーティブなアイデアが生まれるのは、「楽しんでいる人」であり、「遊び半分の人」であり、無駄なことをしている人」である。

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高度経済成長の世の中では多くの人が結果主義を信じていたが、今はそのパラダイムが揺らぎ、「今を大事にする」という発想が出てきている。この発想こそが東洋的、東洋思想の根幹であり、世界のスタンダードになってきている。

<aside> 🗣️ 「人を作ろうと思えば作れる」というゲノム編集技術のある今、技術を使う側の人間に、さらなる「人間性」が求められる。

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東洋思想、東洋の古典の中には、「人間とはどうあるべきか」「持つべき徳とは何なのか」という教えが豊富に揃っている。(四書五教の「大学」に学べ!)

<aside> 🗣️ イノベーションのヒントは「矛盾を解決すること」にあり

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イノベーションは、どういう発想から生まれるのか?有効な考え方の一つとして、「相反する要素を成り立たせる」「矛盾を解決する」というアプローチがある。

例えば、ヤマト運輸の始めた「時間指定の宅配サービス」は、「顧客に対するサービスの質」と「企業側の手間やコスト」という相反する構造の矛盾を解決した画期的な事例であった。

<aside> 🗣️ 「利他非分離」という東洋的思想が、シリコンバレーにも広がっている。

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